クリエイターズユニット

めろうの~つ
読み上げ1(3分21秒・アバターボイス VOICEVOX:雨晴はう)

こんにちは、Akkarinです。

わたしたち「めろうの~つ」は「クリエイターズユニット」を名乗っています。これがどういうものか、ということを、今回は書いていきたいと思います。

わたしたち3人が、ユニットという形態をとって活動をしようと話し合ったとき、何をするかという点に関しては、全く異論が出ることもなく「音楽」に決まりました。それは、メンバーのChapeauちゃんが作曲できて、実際にアルバムのリリースまで行っていたことが最大の理由ですが、わたしもhoyoyoちゃんも、こよなく音楽を愛してきたということもあります。ただし、Chapeauちゃん以外、「聴く」ことは好きでも「作る」経験はありません。

通常、音楽ユニットを結成しようと考えるなら、メンバーそれぞれが何か楽器を演奏できるとか、歌を歌えるとか、そういうことがありそうなものですが、わたしたちにそれはありません。

アニメ「けいおん!」では、主人公の唯ちゃんが「軽い音楽」だと勘違いして軽音部へ入りますが、最初はカスタネットくらいなら…と言ってたのに、いつの間にかギタリスト兼ボーカルとして大活躍してたりします。もちろん、あれはアニメだから可能なのであって、現実に音楽をやったこともないわたしたちが、いきなりギターやベース、キーボードを弾きこなすなんてことは、さすがにちょっと無理な話です(笑)。

そんな、ふつうは「無茶だ」と諦めるようなことを、こうして実際に始めてしまったのには、ちゃんと理由があります。それもまた、きっかけはオンラインゲーム「ドラクエ10」だったのです。

ドラクエ10と音楽活動に何の関係があるんだ?と思われたかもしれません。ちょっと長くなりますが、今回はそのあたりもご説明していきます。

このゲームは、全国から多くのプレイヤーがログインして遊ぶゲームです。ストーリーを進めたり、敵と戦ったりという、ふつうのドラクエの要素もたくさんありますが、特徴的なのは「プレイヤーイベント」の存在です。

ゲーム内のある場所に、それぞれのキャラクターが集まって、おしゃれを楽しんだり、チャットで会話したり、「しぐさ」と呼ばれる、特定の動きや表情をゲーム内のキャラクターにさせたりすることで、お芝居やコント劇をしたりと、本当に多岐にわたる「遊び」を、プレイヤーたちが自主的に楽しんでいます。

そんなプレイヤーイベントの中に「音楽ライブ」というものがありました。

わたしも、最初にそういうイベントの存在を聞いたときは、ちょっと意味がわかりませんでした。ドラクエ10をプレイしているときは、すぎやまこういち先生の名曲が流れています。その音楽を、他の音楽に差し替えるなんてことはできませんし、一体どうやって?と思ったら、ゲームの機能でBGMを止めることができるので、その状態で「Twitch」という外部の動画サイトの生配信で音楽を流して、それをみんなで聴いて踊るのだといいます。

え?え?みんなで聴いて踊ってどうなるの?と、実際に参加するまで、わたしにはなかなかイメージが浮かびませんでしたが、参加してみてはっきりとわかりました。これは楽しい!と。

ドラクエ10内でのライブの様子

これが実際にドラクエ10内でライブを鑑賞している様子です。ステージの上には演者がいて、楽曲の説明をしたり、音楽にあわせて歌詞をチャットで流したりします。観客は、その曲のリズムに合わせて踊ったり、ペンライトを振ったりすることで、その場にいる全員に一体感が生まれるのです。

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読み上げ2(4分6秒・アバターボイス VOICEVOX:雨晴はう)

理屈を知ってしまえば簡単なことです。だけど、この楽しみ方は目からウロコでした。

このときライブ活動をしていたのは、ドラクエ10内のユニット「Salmon Blanc」(サーモンブラン)です。セフィミントちゃん、むっこちゃん、~キキ~ちゃん、むつきちゃんという4人がメンバーで、それぞれ作曲や作詞、楽曲の配信などを担当しています。何よりわたしを驚かせたのは、そのオリジナル曲のクオリティの高さです。

はっきり言ってしまえば、プレイヤーイベントは「遊び」なんです。ところがそのライブ会場で流れていた(実際にはTwitchで流れていた)楽曲は、まさにプロの仕事でした。とても「遊び」の域ではなかったのです。実際にセフィミントちゃんや、後述するゆうみちゃんは、音楽の専門学校を出て音楽のお仕事をしているプロだったのです。

このライブを、わたしより少し前から観に行くようになって、度肝を抜かれた人がいます。それがChapeauちゃんでした。彼女はかつて音楽活動をしていましたが、何年も前に止めてしまっていました。ところが、Salmon Blanc のライブを観て、創作意欲が刺激されたらしく、音楽活動を再開するきっかけにまでなったのです。

そして、わたし自身、このライブでオリジナル曲を聴いて刺激を受けて、作詞くらいできないかなぁと思い始めたりもしていました。うまく歌詞を書けたら、Salmon Blancに売り込んで、曲をつけてもらえないかなーと(笑)。

それでまあ、ドラクエ10のお友達をテーマにして、ちょっと歌詞を書いてみたんですよね。ただ、これに曲がつくと本気では思っていなくて、ちょっとしたネタみたいなつもりで書いて、当時のツイッターにアップしたのでした。それが Salmon Blanc メンバーの目に留まり、翌日にはメロディがつくという、嘘みたいな本当の体験をすることになります。

自分の歌詞に曲がつくなんて経験、なかなかできるものじゃないので、もともとはネタで考えたものだったとはいえ、わたしはちょっと舞い上がりましたね。曲が完成して以降、毎回 Salmon Blanc のライブの舞台には、ネタになったお友達と一緒にゲストで呼ばれて、その曲の歌詞をチャットしながら踊っていたりします(笑)。

その動きとは別に、Chapeauちゃんは作曲を再開して、自作曲をYouTubeにアップするようになります。それがきっかけで、Salmon Blanc のライブに呼ばれて、実際にステージで曲を披露することになります。ドラクエ10内で、Chapeauちゃんの音楽の才能が広く知れ渡ることになったのです。

さて、Salmon Blanc のメンバーのひとり、セフィミントちゃんは、学生時代からの親友ゆうみちゃんとユニットを結成していて、それが「Sound Closs」(サウンドクロス)というユニットです。Sound Crossは、何年も前に結成したユニットだったのですが、ゆうみちゃんもドラクエ10をプレイするようになって、ふたりでゲーム内ライブもやるようになりました。Salmon Blanc 同様、Sound Crossも、毎回100人以上集まるような大盛況となり、ついにアルバムをリリースすることになります。

アルバムというのは、Apple MusicやYouTube Musicなど、サブスク楽曲配信サービスで配信される本格的なものです。Sound Crossは、立て続けにアルバムを2枚リリースしたのですが、ゲーム内の交流の中から、ゆうみちゃんがChapeauちゃんの楽曲をプロデュースするという話が立ち上がり、実際に「Metronome Core」というユニットとして、アルバムを2枚出すことになります。

ここまでの流れは、かなり端折って書いているのですが、まとめますと、ドラクエ10内でのライブ活動を通じてミュージシャン同士の交流が生まれ、リアル世界でのアルバムリリースに繋がったということです。

せっかくなので、Sound Crossと Metronome Coreの公式サイトをご紹介しておきますね。アルバムも聴けます。実はどちらのサイトも作ったのはわたし、Akkarinなんですけどね(笑)。

Sound Cross 公式サイト

Metronome Core 公式サイト

読み上げ3(3分44秒・アバターボイス VOICEVOX:雨晴はう)

さて、このふたつのユニット、そして最初に紹介した Salmon Blancもそうなんですが、共通する特徴があります。それは、メンバーの誰ひとりとして、ゲーム内での活動以外、「表に出ていない」という点です。それは、リアルにおける姿の話だけではなく、本名も性別も住んでいる地域も、声すらも表に出していません。それでも「音楽活動ができている」のです。

昔は、音楽活動をしようと思えば、まず楽器を演奏できることも、楽譜を読めることも当たり前で、自分で歌うのであれば歌い手としての才能も必要ですし、ライブやテレビ出演を目指すなら、容姿も世間にさらけ出す必要がありました。

今回の記事で取り上げた音楽ユニットのメンバーの中には、もちろん楽譜を読める、楽器を演奏できるという人もいますが、その片方、あるいはどちらもできないという人もいます。そして、誰ひとり、ボーカルとしての活動もしていません。それでも「音楽活動ができている」のです。

それが可能になったのは、DTMソフトやAIボーカルの進化と無関係ではないでしょう。

わたし自身、最近になって初めてDTMソフトというものを触りました。小中学校当時のおぼろげな楽譜の知識と、Chapeauちゃんたちのアドバイスを受けながら、実際にDTMソフトにビートルズの「Let it be」を打ち込んでみたら、ちゃんと演奏できたのです。ピアノもギターも弾けないわたしが、見よう見まねで打ち込むだけで、名曲を演奏できてしまったというのは衝撃の体験でした。もちろん、それだけの知識で簡単に「作曲」ができるわけではありませんが、「楽器を演奏できない」ということが、決して作曲への足かせにならない時代であることだけは、はっきりとわかりました。

ボーカルも、先ほど挙げたユニットの大半の曲は「NEUTRINO」というソフトで作られた、AIボーカルが歌っています。最初に聴いたときは人間の声かと思ったくらい、ブレスも入れたりして自然な歌声が作れます。また、ボーカルさんとのコネクションがあれば、楽曲ごとにお願いすることもできます。自分で歌えなくたって音楽ができてしまうのです。

また、姿を表に出さない音楽ユニットは近年増えてきましたよね。わたしの大好きなヨルシカさんだって、顔や本名などは一切表に出していません。ライブ活動もされていますが、照明などで顔を隠した状態で、そこは徹底しています。先入観を持たずに聴いてほしいというのが理由なのだそうで、なるほどと思いました。

わたしたちは、Chapeauちゃんを除いて「ミュージシャン」とは呼べません。だけど、hoyoyoちゃんはイラストを描けますし、わたしもウェブサイトを作ったり文章を書いたりすることならできます。また、ふたりとも作詞はできます。そういう特技や個性を持ち寄ることで「クリエイターズユニット」として活動するのも、いかにも令和らしくて面白いんじゃないかなと考えて、このような活動形態をとることにしました。

ただ、ドラクエ10内で活動する分には、キャラクターがいるため問題ないものの、「外の世界」へも積極的に楽曲を発表していきたいと考えたとき、全く顔が見えないよりは、アバターキャラクターを作ることで、ちょっとVtuber的な活動もできると面白いんじゃないかという発想で、hoyoyoちゃんに3人のキャラクターをデザインしてもらったというわけです。

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